日本で手に入るキャンバスには様々な形やサイズがあるんですが
今回は、そのサイズの由来や使い方などを書いていこうと思います。
さらに、写真を写して描くときに描きやすいサイズなども
載せていますので、参考にしてください。
S・F・P・Mって何?
現在、日本で売られているキャンバスには、4種類の形がありまして
それぞれ縦横の長さの比率が違います。
S(Square)
Sとは、Square(スクエア=正方形)の意味で
その名の通り、シンプルに正方形をしています。
比率は 1:1 です。
F(Figure)
Fとは、Figure(フィギュア=人物)の意味で
人物画を描くのにふさわしいとされる形です。
比率は、1:√5-1(1.236)です。
P(Paysage)
Pとは、Paysage(ペイサージュ=風景)の意味で
風景画を描くのにふさわしいとされる形です。
比率は、1:√2(1.414)で、白銀比ともいいます。
M(Marine)
Mとは、Marine(マリーン=海景)の意味で
海景画を描くのにふさわしいとされる形です。
比率は、1:(√5+1)/2 (1.615)で、黄金比とも言います。
結局どうすればいいのか?
これらはあくまでも、それぞれの絵を描くのにふさわしいというだけで
特に使い方は決まっていません。
Fで風景画を描いても、Mで人物画を描いてもよいのです。
実は、比率に関しても
上記の数値になるべく近く作っているというだけで、微妙に違っていたりしますので
あまり細かいことは気にせず、感覚で選べはOKです。
面積は同じ号数であれば、Sが最も大きく、Mが最も小さくなります。
長い方の辺は、S・F・P・Mどれも同じで、短い辺の長さが変わります。
国ごとの違い
ちょっと厄介なんですが
キャンバスのサイズは国際的に決まっているわけではなく、国によってもバラバラです。
大きく分けるとフランス式とアメリカ式の2つがありまして
ややこしいことに、日本のキャンバスは
このどちらとも違うサイズとなっております。
フランス式
フランス式のキャンバス規格は
主に欧州などの、メートル法を採用している国々で使用されています。
黄金比や白銀比になるべく近づけながら、キリのいい数字で作られています。
日本式
フランス式のキャンバスが日本に入ってきた際、当時の「尺貫法」に当てはめて長さを変換し
さらに現代になってから再びメートル法へと変換したため、キリのわるい変な数字になっております。
日本のキャンバスの中途半端な寸法の謎が解けましたね。
アメリカ式
アメリカやイギリスのように、メートル法ではなく
ヤードポンド法を使っている国ではこのタイプが主流だそうです。
特徴としては「号数」というものがなく、ただ単に木枠が2本ずつ売られていて
それを縦横に組み合わせて、好きな比率や大きさのキャンバスを作れるというものです。
これがいちばん合理的で、分かりやすくていいなぁと思います。
長さは大体こんな感じみたいです。
↓
8インチ(20.32cm)
9インチ(22.86cm)
10インチ(25.4cm)
11インチ(27.94cm)
12インチ(30.48cm)
14インチ(35.56cm)
16インチ(40.64cm)
18インチ(45.72cm)
20インチ(50.8cm)
24インチ(60.96cm)
30インチ(76.2cm)
36インチ(91.440cm)
48インチ(121.92cm)
比率も2:3や4:5など、シンプルです。
1:1とかも簡単に作れて便利ですね。
写真の比率との関係
私もたまにやりますが、最近はスマホなどで写真を撮って
それを写して描く人が多いですよね。
そのときに写真と絵の画面の比率が近ければ、描くのが簡単になりますので
写真の比率に合うようなキャンバスのサイズを載せておきます。
ご参考ください。
2:3
人間の視野に近い、2:3 (1:1.5)です。
これに近いキャンバスは
- F4 (1.40)
- M10 (1.59)
- M12(1.48)
- M15 (1.43)
などです。
3:4
スマホやデジカメで撮った写真は、3:4 (1:1.33)です。
これに近いキャンバスは
- F0 (1:1.29)
- F3 (1:1.24)
- F6 (1:1.29)
- F8 (1:1.20)
- F12 (1:1.21)
- F15 (1:1.23)
- P8(1:1.37)
- P10(1:1.29)
- P12(1:1.33)
- P15(1:1.30)
などです。
スマホで写真を撮って、それを写して描くには最も適したサイズです。
9:16
動画やパノラマ写真などの、9:16 (1:1.78)ですが
これに近い比率のキャンバスが市販されておらず
いちばん近くて、M8(1:1.67)あたりです。
より近づけたい場合は、異なるサイズの木枠を組み合わせて自作するとよいです。
1:1
1:1
これは正方形なので、SキャンバスでOKです。
まとめ
- F・P・Mといったキャンバスは黄金比などを元に作られている
- 国によってキャンバスのサイズが異なる
- 写真に近い形のキャンバスを使うと描き写すのが楽
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。