絵を描くための下地剤として
ジェッソというものがありますが
ここでは市販のいわゆるアクリルジェッソではなく
伝統的な、半油性地(Half Chalk)と呼ばれる
油彩を描くために特化したジェッソの作り方を解説します。
これを木の板などに塗るだけで
キャンバスを使わずとも油絵を描けるようになります。
自家製ジェッソを作る
動画で簡単に作り方を説明してますのでご覧ください。※音が出ます
↑料理のレシピ動画に触発されてこうなった…
白亜というのはチョークの素材で、ムードンとも言うそうです。
酸化チタンは、チタニウムホワイトの顔料です。
こんな感じでビン入りで売られています。
水溶性重合油とは、具体的にはホルベインの
「Duo(デュオ)スタンドリンシードオイル」という製品で
要するに水に溶ける油です。
伝統的な方法では
卵の黄身などの界面活性剤を使って
水と油を混合(エマルジョン)するのですが
このDuo(デュオ)には
初めから界面活性剤が含まれているので
そのまま水と混ぜることができます。
これを使えば、だいぶ楽して
半油性のジェッソを作ることができます。
膠液は、画材屋に売られていることもありますし
自分でも作れますが、今回は割愛します。
作り方は、動画の通りなんですが
まず白亜と酸化チタンを先に混ぜます。
基本の比率は1:1なんですが、白亜は値段が安く、酸化チタンは高いので
白亜3:酸化チタン1くらいでも充分です。
このとき必ずふるいにかけないと、ダマになってしまい
綺麗な下地になりませんので注意。
あとは膠液とオイルを入れて混ぜ
場合によって水で濃度を調節すれば完成です。
動画では、混ぜるオイルを30ccとしていますが
これは自由に調節できます。
オイルが多ければ
・油絵具が染み込みにくくなる
・下地が頑丈になる
・色が黄色っぽくなる
少なければ
・油絵具が染み込んで滲みやすくなる
・下地が脆くなる
・色が白くなる
ここは好みですね。
オイルは、最大で膠液と同じくらいの量までOKです。
膠液は、粉末(白亜+顔料)の半分の量が適正です。
このように板に塗っていくわけですが
その前にまず板に膠液を塗って、1日乾燥させてから
ジェッソを塗ります。
実は、木の板に油絵を描くときの問題点として
木の繊維に油が染み込んで、木が酸化&劣化することがあります。
そこで先に膠液を塗ることで木の繊維を埋めて
油が染み込むことを防ぐのです。
これを目止めとかサイジングなどと呼びます。
ジェッソは水で薄めて、何回か塗り重ねるとよいです。
↑このように一度に厚く塗ってしまうと
ひび割れることがあるので、注意が必要です。
絵を描く面だけではなく
側面にも塗っておくと板を保護できるのでよいと思います。
塗り終わったら乾燥させて
(スタンドオイルが混ざっているので乾くのに数日かかるかも)
ヤスリで表面をこすると、より平らになります。
※おすすめは紙ヤスリの#400くらいです。
市販のジェッソと何が違うのか?
この白亜のジェッソは、市販のジェッソと何が違うのか?
要は油絵に向いているわけですが、長所を挙げていきます。
質感が心地よい
これは個人の好みかもしれないですが、白亜の下地の感触が良いです。
市販のアクリルジェッソのゴムっぽい感じではなく
白亜のチョーク質が、油絵具で描くのに心地よいです。
絵のパフォーマンスも上がります。
油が木に染み込むのを防ぐ
先ほども言いましたが
油絵を木に描くときには、膠液を塗って
油が繊維に染み込むのを防ぐ必要があります。
市販のアクリルジェッソだけだと油が染み込んでしまいます。
かといって膠液を塗ってからアクリルジェッソを塗ると
剥がれるリスクもあるので
膠液の上に、白亜の半油性ジェッソを塗ると
問題なく油絵を描くことができます。
板の選び方
これに関しては、水張り用のパネルのようなベニアの合板がいいです。
反りにくく表面が平らなので、ベストです。
あまり大きいサイズでなければ
ホームセンターで手に入る木材でも反ることはないです。
ちなみに、表面が凸凹した板の場合は
膠で木に布を張り付けてから、ジェッソを塗ると平らになるのですが
これはまた別の機会に。
まとめ
- 白亜の半油性ジェッソは油絵を描くのに向いている
- 板に膠液を塗って目止めしてからジェッソを塗ること
- ジェッソは厚く塗りすぎず、水で薄めて何層か塗るとよい
- 板は、水張り用のパネルがおすすめ
ということで
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。